@genki_102さんから再現をもらったのでブログに載せるものである。
再現の送付先は、cof01234@gmail.comまで。
口述試験1日目再現。
【特許法】
(心臓バクバク、前の人はチャイム前に出てきた。簡単なのか?)
入室。
名前を告げる。
(主査は優しそうな方、副査はバリバリの弁理士って感じの先生)
それでは、特許法は特許要件についてお聞きします。発明の定義についてお答え下さい。
「はい…。(出てこない…)」
「技術的思想の…えーっと…(やばい、やばい、やばい、やぶぁ…)」
「条文を参照してもよろしいですか?(既に頭真っ白)」
どうぞ
「(良かった…。マジでやばい。こんなにも緊張するとは…。)失礼しました。自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいいます。」
(2人とも大きく頷く)
では、発明に該当しない場合はどうなりますか。
「はい、29条1項柱書の要件に該当しないものとして拒絶されます。」
(大きく頷く)
それでは、お手元のパネルを裏返して下さい。
図1 甲が発明、その発明を乙が出願(甲の同意を得ないで)、その後に甲が出願、その後乙の出願が出願公開の状態の図
(説明聞いても、あまり頭に入らず…)
39条の関係で甲の出願は常に拒絶されますか?
「(常にって…)拒絶されない場合があります。」
どのような場合に拒絶されませんか?
「はい、乙の出願が放棄され、取り下げられ、却下された場合、又は、拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定した場合です。」
この事例に即して考えるとどうですか?
「はい、乙の出願がいわゆる冒認であることを理由に拒絶された場合です。」
では、29条の2の関係で甲の出願はどうなりますか。
「はい、拒絶されることはありません。」
なぜですか?
「はい、乙の出願と甲の出願に係る発明の発明者が同一なので、29条の2のかっこ書きの規定に当てはまるからです」
(主査、副査ともにニコニコ)
では、下の図を見てください。
図2 乙による冒認出願の後に乙の出願が出願公開、その3月後に甲が出願の状態の図
甲は特許を受けることができますか。
「はい、受けることができます。」
どのような場合ですか?
「はい、新規性喪失の例外の適用を受ける場合です。」
それは、どこに書いてありますか?
「30条1項です」
では、30条1項を条文通りに言って下さい。
(ばっちり準備してきたぜー!)
「はい。特許を受ける権利を有する者の意に反して、29条1項各号の一に該当するに至った発明は、その該当するに至った日から6月以内にその者がした特許出願に係る発明についての同条1項及び2項の規定の適用については、同条1項各号の一に該当するに至らなかったものとみなす、と規定されています。」
(よく頑張ったね!みたいな顔をされる)
条文も正確に言えていましたよ。これで特許法の試験は終了します。(えっ?終わり?)
それでは、ここからの質問は採点には関係ありません。なぜ弁理士を目指そうとしたのですか?
「はい、〜からです。」
専門分野は何ですか?
「化学、バイオです。」
今年、何回目の受験ですか?
「初めての受験です」
君、すごいね!どうやって勉強したの?
「条文、逐条解説を徹底的に読み込みました。」
王道をいくね!受験機関とか利用した?
「はい、通信教育を主に利用していました」
(ここから副査からの質問)
専門分野については、博士号までとられたのですか?
「いえ、〜です」
なるほど。バイオ系はポスドク問題が大変だからね。弁理士になって、自立できた方がいいね!
「はい!」
(ピンポーン)
それでは、時間になったので、意匠の試験にお進み下さい。
「ありがとうございました!失礼します」(深々と頭を下げる)
(雑談で緊張はだいぶほぐれた。特許はいけたな。ただ、緊張で2条が出てこないとは…。)
【意匠法】
(前の人がチャイム2回鳴らされてる…。難しいのか?それとも熊か?)
ドキドキ…。
入室。
主査は弁理士バッヂが胸に輝くおじいちゃん先生。副査は長州小力みたい。
意匠権の侵害についてお聞きします。
(きたー!これ、いけるんじゃね?)
侵害の民事上の救済を挙げて下さい。
「はい、差止請求、損害賠償請求、信用回復の措置の請求、不当利得返還請求、があります。」
(不当利得まで言った瞬間に大きく頷く。典型パターンでニヤリ)
意匠権のいわゆる直接侵害とは何ですか。
「はい、正当な理由又は権限なき第三者が業として登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする行為を言います」
(また、頷いてくれる。優しい…)
登録意匠とそれ以外の意匠が類似するか否かはどのように判断しますか。
「はい、需要者の美感に基づいて判断します。」
何か足りなくないですか?
「(分かってるけど、出てこないよ…)はい、えーっと…、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて判断します」
では、意匠権の効力が類似範囲まで及ぶ理由についてお答え下さい。
(青本きたー!)
「はい。意匠は特許等と同様に抽象的なアイデアを保護するものです。特許等が発明の同一性の範囲にまで効力が及ぶため、意匠についてもそれと同様の構成とするためです。」
(少し怪訝な感じで)
今、同一性とおっしゃいましたが、そこのところ、もう少し詳しく説明していただけますか?
(えっ?青本じゃだめなの?)
「はい、えーっと…、意匠は物品の美的外観なので、同一の範囲にのみ効力を認めるとすると、少しの変更を加えただけで侵害を回避できます。それでは、適切な保護が図れないので、類似部分まで効力を及ぼすこととしています」(とっさに何かのレジュメで見たやつを再現、何か許してくれたっぽい)
では、事例です。国立大学が他人の登録意匠を一度だけ実施したら侵害になりますか。
「はい。1度の実施であっても、「業として」に当たると考えられるため、侵害を構成します。」
国立大学という主体からどうですか?
「国立大学であっても、試験・研究以外の場合の実施が考えられるので、侵害を構成すると考えるます。」(特69条の準用聞いてるの?題意把握しづらいぞ…)
それは、考慮せずに…。
「はい、営利を目的としない場合であっても、「業として」の実施にあたると考えます。」
もう一度聞くけど、1回だけの実施でも侵害を構成するんだね?
「はい、反復継続性は要求されないと考えます。」
では、組物の構成物品(のみ)を実施した場合は侵害になりますか。
「いいえ、侵害にはなりません。」
どうしてですか?
「はい。物品相違のため直接侵害に当たらず、構成物品それ自体に用途があるため、間接侵害も構成しないからです。」
(怪しい雲行き…。論文ちっくに行くとダメ?趣旨から切るか…?)
そもそも組物はどういうもの?
「(やっぱそっちか!)はい。組物はその全体の有する美感に創作価値があるため、組物全体としての実施が侵害を構成します。」
関連意匠にのみ類似する意匠の実施は侵害になりますか?
「はい。関連意匠であっても、本意匠と同等の創作価値を有するため、通常の意匠権の効力については何ら変わりがないからです。」
じゃあ、そこのパネル見て下さい。(図を見て答える)
物品 カバン
左には取っ手のみ実線、本体は破線のカバンの意匠の図
右にはカバンの全体意匠の図
(取っ手は同じような形態だが、破線部の本体と実線の本体では形態が異なる。)
左側が登録意匠として右側の意匠の実施は侵害になりますか。
「はい、侵害となります。」
なぜ?
「はい、物品は「かばん」で同一です。取手部分の用途と機能も図をみる限り同一であると認定できます。また、形態についても…」
なるほどね。でも、カバン本体の形態が違うよね?
「えっと…、取っ手の位置、大きさ、範囲が同一又は類似と認められます。」
なるほどね。部分意匠制度の趣旨についてはどうかな?
「はい。独創的で特徴ある物品の部分を取り入れつつ、全体で侵害を避ける巧妙な模倣に対応するために設けられました。」
だよね。だから…?
「はい、この場合は侵害を構成します。」
(まぁ、いいでしょう的な顔。今だに、どういう角度で答えればいいか分からん)
じゃあ、最後にさっきの国立大学の話だけど、もう一度整理して答えてもらえるかな?
(えっ?ダメなのか?)
「はい。(さっきと似たようなことと、とっさに思いついた単語を織り交ぜながら回答、日本語になってたかな)〜です」
(まぁ、いいでしょう的な顔)
(ピンポーン)
では、時間になったのでこれで終了します。
「はい、ありがとうございました」
(とりあえず、いけた…のか?)
【商標法】
ドアの前で水を飲む。前の人はもう終わってるみたい。商標は楽勝か?
入室。
主査、アリみたいなおっさん。副査、おばあちゃん。
お疲れ様です。どうでしたか?
「はい。特許はあまりの緊張で、2条1項が出てこずテンパりました。」
(やべ、テンパるとか言ってしまった…)
基本的なところなのにね。少しニコニコ。
「はい、その後は落ち着いて回答できたのでリカバリーできたと思います」
では、商標で終わりなので、あと少し頑張りましょうね。
商標は異議申立てと無効審判についてお聞きします。
(典型きたー!勝てる!)
登録異議の申立てはいつからいつまでできますか。
「はい、商標掲載公報の発行の日から2月以内にすることができます」
無効審判の請求はいつからできますか。
「はい。商標権の消滅後においても請求することができると規定されているので、原則、いつでもできます。」
何か制限される場合はないですか?
「(あれ?)…、あ、失礼しました。除斥期間の経過後はすることができないものがあります。」
そうですね。それでは、除斥期間の適用がある条文の条文番号を列挙して下さい。
「はい。順番はバラバラでもいいですか?」
はい。構わないですよ。
「はい。46条1項3号、3条、8条1項、2項、5項、4条1項8号、10号、11号、12号、14号、15号、17号があります。」
(不正競争云々とかいらんねんな。)
…。まだありますよ。
「…。失礼しました。7条の2第1項があります。」(2項もいるのね。)
それでは、除斥期間を設けた趣旨をお答え下さい。
「はい。設定登録の日から5年を経過して平穏に使用された時は、その商標に新たな信用が化体します。既存の法律状態を尊重し、無効理由が治癒したものと考えられるからです」
よろしいでしょう。では、二以上の指定商品・役務の一つについて無効審判の請求はできますか。
「はい。できます。」
では、商標登録全体について無効審判を請求した場合に、一つずつ無効になることはありますか。
「…。ないと…考えられます。」(そんなん知らんぞー)
(雲行き怪しい)
なぜですか?
「条文上、審決は審判事件ごとに確定するからです。」
んー。だとすると、無効理由がないものに化体している信用を破壊することになりますよね?
「…。条文を参照してもよろしいですか?」(やばい!主査の顔の雲行きが…)
条文より、もっと実体的な観点から説明して下さい。
「はい。1部無効になると判断されることがあります」
…。それはなぜですか?(お前言い直しただけだろ的な顔で)
「(思いつかんぞ)…はい。先ほど言われたように、無効理由を有しないものの信用を破壊することになり、業務上の信用を保護するという法目的に反する事態となるからです」
(まさかの助け舟のオウム返し)
(まぁ、いいでしょう的な感じ)
では、最後の質問です。二以上の指定商品・役務の一つについて異議申立てはできますか。
「(自信たっぷりに)はい、できます!」
主査が副査にこれでいい?的な確認。
はい、ではこれで商標法の試験を終了します。お疲れ様でした。
これで無罪放免です。(副査より)
(やっと終わった…。二度と受けたくない)
その後、係りの人にエレベーターホールまで連れて行ってもらい1階へ。とりあえずどっと疲れて、足フラフラ…。
チャイムは鳴らなかったので、何とかなった…かな?
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