受験生さんの構成についての論評を一時やめ、論文の時の感想を書く。
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甲が意匠ロについて意匠登録を受け、その登録の際現に乙は我が国にお
いて自動二輪車Cの販売を行っていたとする。この場合、乙が当該販売を継続しよ
うとするとき、乙が主張すべき事項を挙げ、乙の主張が認められるか否か理由とと
もに説明せよ。ただし、意匠ハは登録意匠ロに類似しない旨の主張はしないものと
し、登録意匠ロには、無効理由はないものとする
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当初見たとき、「面白い問題だな」と思った。
問われているのは乙の代理人としての主張事項と、裁判官としてのジャッジである。
1.乙は、ロにかかる意匠登録出願時に、登録意匠ロに類似する独自創作した意匠ハの実施である事業「自動二輪車Cの販売」を行っていたことを理由として、先使用による通常実施権を有することを主張すべきである(29条)。
2.登録意匠ロは、パリ条約の優先権の主張を伴っていると考えられる。パリ条約4条Bでは、第一国出願と第二国出願の間の第三者の行為等によって、いかなる使用の権能をも生じさせないことを規定している。
3.乙は、Y国の出願後、ロの出願前に事業の準備を始めているから、パリ条約4条Bの規定により乙には先使用の通常実施権は生じない。
4.従って、乙の主張は認められない。
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